新感覚荘厳オーラADV『ムダにそうごんっ!!』(通称・シリアス荘厳) 荘厳ED2

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 18:59 ID:wGfffsl60
>>452GJ
まぁおれはいわゆるシリアス荘厳始めちゃった人なのだが俺流ED書けたから俺も投下するよ?空気なんか読まないよ?はいとうかー

 私は、最低な女だ。
 あの人の傍にいたいと駄々をこねて、その結果彼が縛られることまで考えていなかった。
 いや、実際は分かっていたんだろう。分かっていて、あんなことを言ったのだ。
 そしてまた我侭を言い、今度はお兄様を傷つけてしまった。
 これは今回に限った話ではない。私はこれまで、私に関わったばかりに不幸になる人を何人も見てきた。
 その結果、彼らが私を恨んでくれたならどれだけ楽だっただろう。  
 しかし彼らは皆口を揃えて「自分達は幸せだ」「荘厳様、ありがとう」と言ってくれる。
 私はそれが、辛かった。
 その言葉を聴いて、何度罪の意識に苛まれたか。
 だけど。
 そんな日々も、彼が居れば、平気だった。
 いや、そうじゃない。
 彼が居れば、周りの人々がどれだけ不幸になっても、私は構わなかったのだ。
 これまで自分の所為で周りの人々が不幸になることに耐えられなかった女が、
 一人の男性の所為で周りの人々が不幸になることを、厭わなかった。
 さらにここで、私は二つの大罪を犯してしまったのだ。
 一つは自分の私欲のために周りの人々の不幸を肯定していた罪。
 そしてもう一つは、その罪を男様に背負わせていた罪。
 そうなのだ、私は周りの人々が不幸にする罪に『男様を思うあまり』という理由をつけて、無意識のうちに彼に背負わせていたのだ。
 私は、なんと穢れた女なのだろう。
 なんという、罪深い、命。
 私が犯したのは、許されざる、大罪。
 ならば、その罪を償わなければいけないだろう。
 この罪深い命を、捧げなければならないだろう。
 私さえ居なければ、だれも不幸になることは無かった。
 私さえ居なければ、男様が罪を背負うことも無かった。
 私さえ、居なければ……



491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:00 ID:wGfffsl60
 四限目が終わり、昼休み。
 俺は教室の隅、一人で弁当をつつく。
 弁当箱はもちろん重箱などではなく、アルミ素材のそっけないもの。
 もう、重箱に入れられた、妙に光り輝く高級弁当を持ってきてくれる彼女は居ない。
 俺は自分のそんな思考に、自嘲気味にニヤリと笑った。
 俺は教室の隅、タコ型に切られたウィンナーをパクつく。
 最近元気が無い俺にと、妹が作ってくれたものだ。
 俺はそれを無感動に咀嚼する。
 俺はウィンナーをもう一切れ口に放り込みながら、どこからとも無く聞こえてくるヒソヒソ声を耳にした。
「……ハハッ 見ろよ今日のあいつの弁当。タコさんウィンナーだぜwwww」
「うわぁ、なんかニヤニヤしながら食べてるよ、荘厳さんが作ってくれてるとでも妄想してるのかしら」
「うわwwマジきめぇwww やっぱストーカーはやることが違うぜww」
「でも、あいつが犯罪に手を染めなくてよかったよ。このクラスから逮捕者なんて出たら、荘厳さんが悲しむ」
「あの人は優しいからなぁ……」
「でもちょっと無防備すぎるわ。ああだからあんな虫がつくのよ」
「ハハハ! 違いねぇww」
 あの『俺に話しかけるな』発言以来、荘厳さんはあからさまに俺を避けるようになり、廊下ですれ違うだけで嫌な顔をするようになった。
 もし彼女にそんな意識はなかったとしても、少なくとも俺やクラスメイト達にはそう見えた。
 そんなことがあった所為で、俺は現在、教室内で村八分にされている。
 信仰とは、恐ろしいものだ。自分の崇拝する者が少し嫌う素振りを見せただけで、どんなに親しかった友人も、簡単に手のひらを返す。
 だが俺は、別にそんなことを気にしちゃいない。
 むしろこれで荘厳さんの心の傷が、痛みが、少しでも軽減されたかと思うと、むしろ幸せな気分だった。
 分かっている。そんなものが自己満足で、そんなことをしても彼女は喜ばないことを。
 だが、こんなことを考える時点で、もはや俺に荘厳さんの傍にいる資格は無いのである。
 俺は、それがわかっていないクラスメイト共を見た。
 自分が荘厳さんを傷つけていることにも気づいていない愚かな連中。
 俺はこいつらより荘厳さんのことを知っているんだ。
 クラス連中共、何とでも言うがいいさ。俺には負け犬の遠吠えにしか聞こえんがな。
 俺は嘲るような表情を浮かべると、再びウィンナーを口に含んだ。
 いくつあるんだ、このタコ。



492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:00 ID:wGfffsl60
 そこで、クラスメイトの一人が教室に入って来た。
 入ってくるなり口を開く。
「ねぇ、荘厳さん知らない?」
「あの人学食派でしょ?食堂に居なかったの?」
「うん。てか、学食にいなかったからさがしてるのさ」
「おかしいわね、あの人食べるのあまり早くないから、この時間まだ食堂に居るはずなのに」
 俺の脳が警鐘をならす。嫌な予感。
 ぼんやりしていた頭が唐突に鋭さを増す。
 何故だろう、すごく、嫌な予感が……
「あぁ、荘厳さんなら俺さっき見たよ?」
「えー? どこで?」
「んーと……東校舎の四階」
 俺の予感が、ほぼ確信に変わる。
 何故だか分からない。
 しかし俺は、その時確かに荘厳さんの声を聞いたのだ。
『ワタクシサエ、イナケレバ――』
 俺は反射的に席を立つと、ズカズカと荘厳さんを見たという男子生徒の襟首をつかみあげていた。
「ヒィ――!!」
 軽く悲鳴を上げる男子生徒。しかし俺は構わず自分の聞きたいことだけを聞く。
「いつだ!?」
「へ―― え?」
「お前が荘厳さんを見たのはいつだっ!!」
 ギリギリと俺は男子生徒の首を締め上げる。
「さ、ついさっき……だよ。五分くらい前……俺さっきまでクー先生に用事があっ……く、くるし――」
 俺は男子生徒を突き飛ばし、気づけば廊下を走っていた。
 間に合う――今ならまだ!!!



493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:01 ID:wGfffsl60
 この学校には、中庭をはさむように二つの校舎が建っている。
 生徒はそれぞれ、西に建っているを方を『西校舎』その反対側を『東校舎』と呼んでいる。
 西校舎は三階建てで、屋上があり、そこは常時開放されていて、生徒達の憩いの場とされている。
 東校舎は四階建てで、こちらにも屋上があるが、こちらへの進入は許可されていない。
 これは西校舎の屋上に比べ、東校舎のフェンスが簡単によじ登れるくらい低いからだそうだ。
 なんでも昔、女子生徒がそこから飛び降りたとか飛び降りてないとか、そんな噂もある。
 そして俺の教室は西校舎一階だ。
 俺は全力疾走で廊下を駆け抜け、階段を駆け上り、二階の割り廊下を通って東校舎へ。
そのまま息をつく間もなく四階まで上がり、廊下の端にある階段を上る。途中にある立ち入り禁止のロープを飛び越え屋上へと続く扉を開けた。
 案の定、鍵はかかっていなかった。



494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:01 ID:wGfffsl60
 俺の視線の先、フェンスを越えた向こう側、僅かな屋上の縁の上、そこに、黒い艶やかな髪を風になびかせる、少女が居た。
 少女は扉の開く音に気づいたのか、こちらを振り向いた。
「あら、男様。 ここは立ち入り禁止ですのよ?」
「それは……ハァ――……俺の、台詞……だ――ハァ、ハァ」
 俺はゼイゼイと息をしながら荘厳さんに話しかける」
「どうして、こんな――」
「私が罪を犯したからですわ」
 罪? 罪だと? 清廉潔白を絵に描いたような彼女に、罪などあるはずがない。
「何を、言って……る」
「私が生きていると、周りの人々を不幸にします」
 彼女は、キッパリと、何の迷いも無く告げる。
「私が居ると、男様に迷惑を掛けます。今だって、私の所為で……男様は」
 そこで彼女が、顔をうつむかせる。
 悲しそうな、表情で。
 やめろ――やめろよ、だからやめろってば!! 俺はお前のそんな顔見たくねぇんだよ!! クソッ! どいつもこいつも腹立たしい! 
目の前に居るこの女も! こいつの、馬鹿馬鹿しい話ばかりする兄貴も! 荘厳のことを何もわかっちゃいねぇクラスメート達も! 
荘厳の気持ちを分かっていながらも彼女を傷つけることしかできない俺も!!
 そしてその中で、最も腹立たしく愚かしい俺よ!
 なぜ彼女の気持ちを分かってやらない!?
 なぜ彼女を傷つけることしかできない!?
 なぜ彼女を救ってやらない!?
 なぜ彼女の思いに答えることができない!?
 お前の気持ちは分かってるんだ!
 お前が荘厳のことをどう思ってるかはお見通しなんだよ!
 ならなぜ思うとおりに行動しない!?
 思ったなら! それが最善の方法だと思ったのなら! なぜ実行に移さない! 
 楽な方ばっかり! 選んでるんじゃねぇ!!



495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:02 ID:wGfffsl60
「荘厳さん――荘厳!!」
 俺は気づけば、叫んでいた。
 荘厳さんが、俺を驚いたように凝視していた。
 そうだ、そうだったんだよ。俺は怖かったんだ、荘厳さんに思いを告げて拒否されるのが、荘厳さんの傍に居られなくなることが。
だから俺は荘厳さんの奴隷になることを選んだ。臆病な俺は、そういう形でしか荘厳さんの傍に居られなかった。たとえそれが、荘厳さんを傷つける道でしかなくとも。
 そうなんだ、あのときあいつが言ってたように、俺は自分の事しか考えちゃいなかった。
 だけどその所為で、荘厳さんは傷ついた。
 こんな風に追い詰められて、自ら命を絶とうと考えるほどに。
 でも、もういいんだ、荘厳さん。
 もうそんなことをしなくていいんだよ!
 俺は大きく息を吸って、今度こそ自分の意思で言葉を紡ぐ。
 俺は――
「君が好きだ! この世の誰より愛している!君と対等な―― 一人の男として!!」
 最後の勇気を、振り絞った。
「君が好きだ!」
 二度目の、告白。そして、
「そして、俺は一生君の傍に居続けたい! 奴隷としてでなく、パートナーとして! だから――」
 そう、だから――
「好きです! 付き合ってください!!」
 言った。
 俺は俺のやりたいようにやった。
 だから、どうなろうと、俺に悔いはない。
 くっ、と、荘厳さんが、顔を上げる。
 こちらを、見た。



496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:02 ID:wGfffsl60
 視界が暗転。
 気付いたら俺は、地面にたたきつけられていた。
 いや、違う。
 、、、、、、、、、、、、
 自分からたたきつけたんだ。

 俺から、荘厳さんまでの距離は約5~6メートル。 
 それだけの距離を置きながら、俺はコンクリートの地面に擦り付けた額を上げることはできなかった。
 すさまじい、オーラ。
 これまでの荘厳さんとは比べ物にならない――いや、もはやこれとあれでは、オーラとしての質が違う。到底並べて考えられるものではない。
 本当に荘厳さんかと思わせる程の、冷たい、圧倒的な、支配者としての荘厳さ。
 どこまでも冷たく、厳格な威圧感。
 俺は、土下座とも言えない、ただ地に額をこすりつけただけのお粗末なポーズのまま、動くことができない。
「ふざけんじゃねぇぞ!!」
 信じられないが、荘厳さんの声だ。
 空気をピリピリと振動させる、張り詰めた絶叫だ。
「何が愛してるだ! パートナーだ! 付き合うだ! そんなの虫が良すぎだろうが! 自分に近寄るなと言っておいて何が傍にいたいだ! 
 ふざけんな! もう嫌だ! 嫌なんですのよ! 人を傷つけるのも! 傷つけられるのも! 嫌だよっ! 嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 
 皆嫌いだ! 私のことしか考えていない兄様も! 自分達のことしか考えずに勝手に不幸になっていく他人も! 自分のことも私のことも考えていない振りをする男様も! みんな大嫌いだ!
 みんな私を傷つける! みんな私に傷つけられる! そんなのもう嫌なんだよ! 嫌ならもう死ぬしかねぇじゃねぇかよ! いいじゃないの! もう諦めさせてよ!」



497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:03 ID:wGfffsl60

 顔を上げられないのは、不幸中の幸いだった。
 今の荘厳さんの表情に、きっと俺はたえられないから。
 あぁ、俺は今まで何をしていたんだ。
 荘厳さんを救うなんて大それたことを言っておいて、いつの間にかこんなにも彼女を追い詰めていただなんて。
 俺は、なんとか動く口を動かす。
「だったら……俺が荘厳を守る! お前がもう傷つかなくてもいいように! 俺が守る!」
「そんなのできるわけありませんわ!」
 ゴォン!
 俺の言葉に反応したように、空気中の重苦しいオーラが倍増する。
「ふざけんじゃありませんわ!!! 口だけなら何とでもいえますわ! そう言ってまた私を裏切るのでしょう!? この前のように、兄様のように!!」
 分かってる、そんなのはしょせん絵空事だと分かってる。でも――それでも、俺はこんなところで引き下がれない!
「あぁそうさ! 確かに俺は口だけの男だよ! だがなぁ! 少なくとも俺はもうお前を傷つけないし! お前に傷つけられない!」
 俺は語る。絵空事だと分かっていても。彼女のために、ホラを吹く。
「お前の兄貴や母さんや妹がなんでお前に普通に接しているかわかるか!? それはな、お前のことをちゃんと知ってるからだ! お前のことをちゃんと考えてくれてるからだ!
 なんで俺やクラスメイト達がお前に他人行儀に接するかわかるか!? お前のことを知ろうとする俺たちを、お前が拒んだからだ! 
 過去に何があったかはしらねぇけど、だからって傷つくことを恐れるな! 楽な道ばっかり選ぶんじゃねぇ!」
「――!?」
 少し、力が緩む。俺はそれに抗い、顔を上げる。
 涙でぬれた、荘厳の顔を見る。
 そんな顔で、なくんじゃねぇ。



498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:03 ID:wGfffsl60
「もしそれで傷ついても、その傷は俺が引き受ける! もしお前が他人を傷つけても、その罪は俺が変わりに背負う! 奴隷なんかじゃない、恋人として!」
 黄金に輝く天使に、俺は一歩一歩近づいていく。
 いや、それは天使じゃない。 俺にはただの、傷ついて自棄になっている可愛い女の子にしか見えない。
 俺を圧倒するオーラなんかもう出ていない。
 あの果てしなく長い道のりに見えた五メートルなど、実際歩いてみれば数歩だ。
「なんでですの! 何で近づいてこれますの!? 私が高貴な、触れてはいけない高みの存在に見えないんですの!?」
 ただの少女は、俺を見てわめく。
 大丈夫。もう、安心して。 
「男……様。あなた、もしや……」
 天と地ほどにあった差は、もはや完全に埋まっていた。俺は物理的にも、精神的にも、彼女の目の前に居る。
 腰の辺りまでしかないフェンス越しに、彼女の肩を掴む。
「ひっ!」
「怯えないで……もう、大丈夫だから」
「お、男様……うっ……えぐ……男様ぁ、男様ぁぁぁぁ―― うあ―――――――――!」
 声にならない、泣き声。
 俺は優しく、彼女を抱きしめる。
「好き、好きなんですの! 私も男様のことが好きですの!」
「あぁ、好きだ。俺も」
 だから、好きなだけ泣いていいんだ。
 BGMも、豪華な背景もいらない。荘厳な雰囲気もなく、ただ、ありのままの姿で。

 荘厳さんは、もう居ない。
 居るのは俺の、大切な人。 





















506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/08/05(土) 19:37 ID:wGfffsl60
いろいろ切羽詰った状況で描いたから文おかしくても文句言わない
しかも切羽詰った状況で投下したからいろいろ適当でも文句言わない

まぁこんな感じで俺の脳内エロゲ

新感覚荘厳オーラADV
『ムダにそうごんっ!!』

の荘厳エンドでした
途中で荘厳テラコワスでも泣かない
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by SouGons | 2006-08-06 20:41 | 荘厳さん


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