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荘厳さん その23

941 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 01:52:44.85 ID:MxskLMTK0
 街を歩いていると、見知った男に出くわした。
「よぉ、『彼氏』さん」
 男は片手を挙げ馴れ馴れしく話しかけてきた。
「こんにちは、『お兄様』」
 だから俺も皮肉をこめて返してやる。
「まぁなんだ、立ち話もあれだからな、そこの喫茶店にでも入ろう」
 相変わらず強引な人だ。そんな奴に付き合ういわれはない。
「すいません。俺、用事があるんで」
 俺がそう言って、彼に背中を向けたとき、
「俺の妹をストーキングするのが、お前の言う『用事』か?」
 その言葉に、俺の背筋がびくっと震える。
「俺の妹なら、今から晩飯の買い物だ。一時間は出てこんよ」
 男は相変わらず不機嫌そうなニヤニヤ笑いで俺を見ている。
 俺は、荘厳に似た整った顔にそんな表情を張りつけるこいつが嫌いだった。
「少し、付き合えよ」
「いやです」
 俺は即答した。
 こんな野郎とお茶など、だれだってお断りだろう?
「なんで俺が、お前と妹を引き離そうとしているのか。教えてやるよ」
「…………」
「ハハ、そう睨むな。ホラ、あそこの喫茶店からなら、スーパーに出入りする客がよく見える。
 妹が出てくるまで、少し話そうじゃないか、『ストーカー』さん」



942 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 01:53:18.05 ID:MxskLMTK0

 こうして俺は、優雅なしぐさで紅茶をすするニヤニヤ笑いの優男と向かい合ってコーヒーを飲む羽目になった。
 店内はそれなりに込んでいて、ざわざわと騒がしい。多少大きな声で話したところで、回りに咎められることはないだろう。
 二人の間には、沈黙が横たわっていた。
 俺はそれに居心地の悪さを覚え、コーヒーを一口すする。
 甘ったるい。
 砂糖を入れすぎた。
 俺がコーヒーカップをテーブルに戻すと、男は――荘厳の兄は口を開く。
「おまえ、何でウチの妹を付け回る」
「別に、付け回ってなんか、いないですよ」
「こっちはまじめに聞いてんだ。まじめに答えろよ」
 男の眼光が鋭くなる。そんな目で、見るんじゃない。
「どうして、荘厳に付きまとう」
 二度目の、問い。それに俺は――
「…………」
 答え、られない。
「答えられないだろう? それが、理由だ」
 男があざけりの視線を向けた。いや、むしろ、うんざりしたような、呆れたかのような視線。
 やめろ、そんな目で。
「それが、お前が荘厳に魅せられている証拠だ。そして魅せられた者はやがて、荘厳に堕ちる。
 そうなったらお前は、もう荘厳なしでは生きられなくなる。荘厳にただ付き従い、虐げられるだけの奴隷となる」
 だから、なんだというのだ。
 荘厳さんにはそうするだけの価値があり、そして俺は、そうなったって構わない。
 むしろ、そうなりたいくらいだ。
「確かに、それは心地のいいことだろうな。おまえにとっちゃぁ、ずいぶんとうらやましいことじゃないのか? だが、荘厳にとっては、どうだ?」
 俺の視界が、むやみに霞む。



943 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 01:54:06.52 ID:MxskLMTK0
「荘厳は、そんなことを望んじゃいない。あいつは、飼い主や支配者になんかなりたいなんて、思っちゃいない。
 人間なんてのは、結局自分のことしか考えていないんだ。お前らは荘厳をちやほやして、荘厳のオーラに当てられて、自己満足に浸っているかもしれない。
 だがそれ故に! だれも荘厳の痛みに気づかない!」
 男の顔が、悲しそうに、大きくゆがむ。
 やめろ、そんな顔をするな。荘厳さんの顔で、そんな表情を――
「荘厳は家に帰るとお前の話ばかりする! 楽しそうにお前のことを話す! 自分に自然に接してくれると! うれしそうに!」
 やめろ、やめろ――!! そんな顔で……
 俺は男から、視線をずらせない。
「少なくともなぁ、荘厳は、お前が対等な立場で自分を見てると思ってる! それなのになんだ? お前は!まるっきり荘厳の奴隷じゃねぇか!」
 や……め――
「お前はあまりにも荘厳に魅せられすぎた。いつもはこうなる前に俺が手を打っているのに、俺が気づくころにはもうお前は手遅れだった!」
 そんな……顔、言葉……
「荘厳は! 今はまだ、近くに居すぎてお前がすぐ目の前に立っていることに気づいていない。だがなぁ、あいつが気づくのはもはや時間の問題なんだよ!」
 そんな、ことって……
 俺は……
「それまでに……頼む。あいつの、恋人になってくれ……」
 俺はその言葉に、涙を流し続ける男を、凝視することしかできなかった。

「荘厳……さん」



944 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 01:55:18.11 ID:MxskLMTK0
ベッドに入ったとたん描かなきゃいけない気がして書いた
今は反芻している



947 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:02:46.69 (p)ID:lwJPZHq8O(2)
>>944わっふるわっふる
これはまとめに反映されるべきだ。
これ以上の余計な書き込みは自粛しようと
心に誓う俺であった。おやすみノシ



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よく読むと995が次スレ立てをするという話だったのに、いつの間にか955が立てることになっている。
…これも荘厳効果?(違
そして感動的な次スレ立て。



928 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 01:11:29.80 ID:p0tjeHAU0
じゃあ>>995が次スレを立てるか??
むしろ俺が>>995を狙ってるわけだが



952 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:11:53.67 ID:p0tjeHAU0
>>955をとるまでは寝られない俺も保守



953 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:14:01.99 ID:MJJMZdm10
よもや1000にいくとはあの頃は考えもつかなかったな
最初に絵を投下できたのを荘厳に思うよ・・・・・・ぐはっ



955 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:15:05.10 ID:uRGWX7Ux0
ふ……そもそも立て逃げしようと思っていました。



957 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:15:30.55 ID:dbhciX2n0
>>955
>>1乙



958 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:15:54.33 ID:p0tjeHAU0
>>955
ちょwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwww
狙ってたのにorz



960 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:16:31.34 ID:uRGWX7Ux0
ぬああああああああ!?

まさかここで俺が踏むことになるとは思わなかったぁああああああああああああああ!!!!!!!





逃げていいですか!?



973 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:22:13.61 ID:uRGWX7Ux0
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1154625694/l50
それでも逃げないで立てちゃうのが俺なんだよな('A`)



983 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:25:32.09 ID:uRGWX7Ux0
なんでこんなことになってしまったのか私にはわかりません…。



988 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/04(金) 02:27:27.99 ID:uRGWX7Ux0
それでも、次スレもちゃんと張り付いちゃうのが俺なんだよな('A`)



1000 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2006/08/04(金) 02:33:38.07 ID:6vB5SD4a0
荘厳な1000
by SouGons | 2006-08-03 18:02 | 荘厳さん


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